私の住む街

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私は帰るつもりだったが今日は特に忙しくも無いし森まで歩いてみようかと思った。 森までの距離は離れていないし、この通りを進んで曲がるだけですぐ家に着くのだから。 そして通りを少し進んで私の家の近くの角から見える位置に見慣れない建物があった。 ここからは建物を囲んでいる私の肩程であろう高さの煉瓦造りの塀とその上に植えられた木々が見える。 『いつの間にこんなの出来たんだろ?カフェか何かかな?』 私はその店の前に行ってみた。 その店はまるで絵本で見る様な別世界を思わせる綺麗な装飾だった。 硝子や金属、煉瓦や流木の色褪せた滑らかな表面の小さな破片が壁やドア、窓枠にあしらわれていて、太陽の光を反射させて1つ1つが宝物の様に輝いていた。 煉瓦が並べられた緩やかな坂道が店の玄関まで続いていて、両側にオープンカフェの様に椅子とテーブルが並べられている。 塀の右側に金属の板が埋め込まれていて、どうもそれが看板らしく、『万屋』と書かれていた。 そしてその看板より少し背の低い黒板がその下に置かれていた。 その黒板には『万屋はお客様のどんな御要望にも必ず御応えします。 どんな御要望でも御気軽に御相談下さい。』と白いチョークで書かれていた。 店の看板や黒板にも建物と同じ様な綺麗な装飾があしらわれている。
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