記憶の終わり

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私はどれ程寝ただろうか。 時間で言うなら4~5時間というところか 私は夢を見ていた。 夢の内容は 私が家の外にいて 家の中には みっちゃんの姿が見える。 みっちゃんが必死でこちらに何か叫んでいる。 「みっちゃん?」 私はそこから動けないで ただ みっちゃんの叫びを聞こうと身を乗り出す。 直ぐに 窓の奥… みっちゃんの背後から真っ黒い闇が迫ってきた。 「みっちゃん!うしろ!」 私は叫びたかったが声も出せない。 みるみる内にみっちゃんは闇に飲み込まれてしまった。 私は怖くて怖くてガクガク震えていた。 私は家の窓に視線が釘付けだったが 足に違和感を覚えた。 何か、もぞもぞと足を這い上ってくる感覚がした。 私はぞっとして足を見た。 それは幾万もの針金の塊だった。 目を凝らすと針金のような小さいアメンボ達だったのだ。 「!!!!!」 声にならない悲鳴をあげながら 私は必死に もがこうとした。 やはり体が言うことをきかない。 みるみる内に 針金達は 私の腰、私の首、私の肩まで這い上って来てしまった。 私は泣き叫んで 助けを呼んだが、それも虚しく 針金達に全身すっぽりと覆い被されてしまった。 針金は私の体をそのまま地面に引きずり込んだ。 視界が闇に包まれた。
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