記憶

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記憶の始まりは 自分の指先のピクリと動く感触…。 真っ暗な視界 固くて冷たい床の感触はフローリングのようだ 私は声をなかなか出すことができなかった。 今思うと、どうしていいのかわからず頭の回転が追い付いていなかったように思う。 少し見回すと灰色の四角が見えた。 少しの月明かりがさす窓だ。 そこにカーテンはついておらず、窓の外で木々が不気味に揺れている。 人の気配はまったくしない。 それが私に恐怖を与えた。 私は小学校4年生だっただろう 体がクラスでも小さく人一倍怖がりで、甘えん坊だった。 それが、得体の知れない部屋で一人きりなのだ。
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