記憶

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みっちゃんが手にしたドアノブがキィと音を立て回った。 「開いた…。」 思わず私はつぶやいた。 「前も開いたから今日も開くわよ」 みっちゃんは少し自慢気に話した。 みっちゃんはドアを開き中に入って行った。 誰かの家に勝手に入るなんて泥棒と同じなんだよと 泣きそうになる気持ちを押さえてみっちゃんの後を追う。 中はとても綺麗で新築の木の匂いがした。 なかなか大きい家で二階建てだった。 全部の部屋を見るまで 誰か人が来ないか気が気ではなかったが… 家の中でみっちゃんと家族ごっこをして遊んだ。 二階の奥の部屋が自分の部屋だ!と勝手に部屋の割り振りを決めた。 台所では お母さんごっこをしたり 挙げ句には 鬼ごっこや隠れんぼをした。 私が自分の部屋と決めた部屋でヘトヘトになったのでみっちゃんと一緒にゴロゴロしながら話していた。 その部屋はヒンヤリとしたフローリングで 火照った肌が、それに触れると何とも気持ちが良かった。
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