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  「つまりそもそも、『恋愛』なんてお互いを求め合う動物的な気持ちを美化してるだけなんだよな。」   靖仁(やすひと)はズッとそう思っていた。   欲求を美化して汚い部分を必死に隠してるドラマも漫画も映画も小説も、靖仁は大っ嫌いだった。 現実ってのは絶対、そんなキレイゴトだけで済むハズ無いのに、女はメディアに踊らされてロマンチックな恋愛を期待してキャーキャー騒ぐし、男は男で見た目がどうとか胸がどうとかで盛り上がっている。   「バカばっかだ…」   靖仁はクラスで異質な存在だった、いつも浮いていた。 無口だけど暗くは無く、真面目ではないけどヤンキーとは違って規則違反するわけでもなく、成績も普通の、つかみどころの無い少年だった。   たまにそんなカゲがある所を気に入って告白してくる女もいたが靖仁は、 「キミが期待してる恋愛ゴッコとかにはつきあってやれないけどイイ?」 とか 「俺はエッチ目的で付き合うって事でもイイ?」 と自分が思ってる事をストレートに言ってしまって、たいてい逃げられるか泣かれるかされて、それからは女子の間では最悪なイメージで定着してしまっていた。
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