とある冬の日に

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突然声をかけられ 心臓が大きな音を立てた 声の主は 教室のドアの所で きょとんとした顔をしていた 「どうしたの?こんな時間まで」 「そ、掃除当番で・・・」 そっか、と言って自分も箒持ち 掃除を始めた 「え?…瞬?」 瞬はニコリと笑っていった 「二人でやれば 早いだろ?」 そのまま 二人で黙々と掃除を始めた 沈黙 でも 少し心地よい 瞬と一緒だからだろうか 「………よし!終わり!」 しばらくして 僕達は掃除を終えた 「……ありがとう……瞬」 「いいよ それより 早く帰ろう」 そう 言うと鞄の用意を始めた ―――チャンスだ 心臓の音が高鳴るのを感じた 顔が熱を帯びて赤くなったのを感じる それでも 僕は 瞬へと声をかける 「あの……瞬」 チョコを見たとき 瞬はどんな 反応をするだろうか もし 可愛いと言ってくれたら 少し嬉しいかもしれない 僕は両手で 瞬へチョコレートを差し出した そんな二人の姿を 夕日だけが 照らしていた
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