架空大学創作研究室

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そもそも本編を気合いで書き上げた学は、もうそこで力を使い果たし、紹介文だの他のことをするには疲れていた。 どちらかというと、文には悪いが、さっさと投稿して、早く、あの居心地の良いソファに身を沈めたい。 だが、そんなことを文に言おうものなら、きっと、また話は長くなるだろう。 学の関心は、今や、紹介文の内容どころではなく、いかに文を説得し、解放されるかである。 「書物ならいいわよ。店頭で手にとって、中身も見られるしね。けれどね、ネットは・・・特にココ、このサイト、すっごい投稿数だから、表題や紹介文で目に止めてもらわなきゃ、読んでもらえないよ」 「・・・・・・」 「読んでもらえなければ、せっかく書いたのに勿体ないじゃない。評価もわからないし、それにどんな人に受け入れられたのかも、感想も何もないよ。ガクくん、頑張って書いたのに」 「・・・マナブ」 「これじゃ、ダメ。絶対、この紹介文で投稿しちゃダメだからね、却下です」 「・・・聞いてないし」 そこへ、二人の声が聞こえたのか、或いは、この別の用でだったのか、あの扉の向こうから、白髪混じりのぼさぼさ頭の人物が現れた。 言うまでもなく、この研究室の助教授、創作だ。
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