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そのやりとりの数日後、
彼女は容態が急変し帰らぬ人となった。
その場にいた僕は泣かなった。
泣いてたまるかと強く拳を握り、
彼女のように気丈に振る舞った。
お通夜や本葬の準備で忙しいかと思い、
僕は彼女の家に向かい手伝いを買って出た。
すべてが終わり、
片付けをしていると、
彼女の母が来て僕に声をかけた、
「ホントに色々手伝ってくれてありがとうね。
私達と同じように悲しい思いをしてるのに…」
その言葉に俺は、こう言った。
「僕は大丈夫です、おばさんは疲れてらっしゃるでしょう?奥で少し休んでてください」
そう言うと、彼女の母は涙を浮かべながら言った。
「娘はあなたと出会えて幸せだったでしょうね。
これ、あなたに渡すように娘から頼まれたの」
と、彼女の母は僕に手紙を渡してくれた。
僕はその手紙をその場で開き、読んだ。
『DEAR、○○
あなたと出会えて私はホントに幸せでした。
あなたがいてくれたから私は辛い病気と闘えた。
私が死にたくないと言った時、死なせないと抱きしめてくれたあなたの温もりが、
私にとっての最高の贈り物でした。
ホントに、
ホントに、
ありがとう。
愛してます。』
僕はこらえていたものが溢れ出し、
その場で泣き崩れた。
付き合っている間に手紙なんて書いた事の無かった彼女からの最初で最後の手紙。
僕にとっては最高の贈り物でした。
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