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「すまないな。あいつは寝起きが悪くて、朝はいつも機嫌が悪いんだ」
朝、と言ってももう9時を回っている。毎朝5時起きの護には、全然朝ではない。
「聞いているかもしれないが、君にやってもらいたいのは、この屋敷内の掃除と食料品の買い出しだ」
「はい、聞いています」
そう言いながら朽木は階段を降り、掃除道具の置いてある場所に案内してくれた。
「じゃあ、さっそく頼む」
「あのぅ…」
離れて行こうとする朽木を呼び止めた。
「もう一人、ここに住まわれているのはどなたなんですか?」
「ああ、ユーゴは下の弟だ」
「今はいらっしゃらないんですか?」
「あいつはおそらく君が働く時間帯には現れない。極度の人見知りで、夜型なんだ」
「…わかりました」
「わからないことがあったら、わたしに聞いてくれ」
一人残された護は、まず一階から掃除に取りかかった。その間屋敷の住人の姿を見かけることはなく、昼になると朽木が作ったパスタを供された。護の仕事に料理は入っていない。それは朽木自身が作るからいいと言われた。ただし後片付けはしてくれと頼まれたが。
午後はキッチン、風呂場、そして二階の掃除をした。
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