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レイジが部屋から出ていくと、護は掃除を再開した。
レイジもユーゴもこれまで護が知り合ってきた人たちと比べると、かなり変わっている。他人を誰かと比べることを由としない護は、それを非難するつもりはなかった。でも長男の一太朗だけは、もう少し常識人であって欲しい。
「だいたい片付いたかな」
物置部屋の掃除が終わり、一息ついた。
しばらく待ってみたが一太朗が戻ってくる気配は感じられない。
(そうだ。レイジさん、ドアの鍵どうしたんだろう)
遅ればせながらそれに気づいた。レイジが入ってきたことには全く気づかなかったが、鍵を開けなければ中には入れない。出て行った時にまた鍵をかけていったのか、まるで気にしていなかった。
ドアノブを回してみると、ドアは簡単に開いた。どうやら鍵はかけていかなかったようだ。
薄暗い廊下に人影はない。
護は外へと足を踏み出した。
その時頭上で重いものが床に倒れたような振動と音が、地下の空気を震わせた。
「な、何?」
護は走り出していた。
走りながら胸に手を当てる。今日はうっかりクロスを外してくるのを忘れてしまっていた。
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