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「そうだ、ハウスキーパーなんてどうです?」
「ハウスキーパーとは?」
「要するに家政婦ですよ。いやね、最近うちが取り扱っていた物件で、ずっと借り手がなかったやつにようやく借り手が見つかったんですよ」
金貸しだと思ってたら、アロハ男は不動産屋のようだ。
「4丁目にある大きな洋館、神父さんもあそこがいわくつきなのは知ってるでしょ?」
「はい、覚えております」
4丁目の洋館。それは近所で幽霊屋敷と呼ばれているところだ。
10年以上昔に、そこにいた一家が忽然と消えた。その後その屋敷には数組の家族が暮らしていた経緯があるが、どの家族もひと月と経たないうちに引っ越してしまったという、怪しい屋敷だ。
「勿論そう言った噂話もきちんと説明したんですがね、それでも構わないと一年分の家賃前払いですよ。ありゃあ、何かあるね。その御仁がハウスキーパーを雇いたいってことで、プロの家政婦斡旋所を紹介したんですよ。ところがどの家政婦も気味が悪いと、行きたがらない。方々当たってみたんだが、どこもダメでね。正直、困っとるんです」
「そんなにお困りですか?」
「いやぁ、実はね、ぶっちゃけた話、心配なんですよ」
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