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マスターは護の隣に座り込むと、その頑丈そうな体を寄せてきた。
「それともマモルちゃん、アタシの大事なダーリンになってくれるのぉ?」
グイグイ詰め寄られ、護は壁にへばりついた。
「む、無理です! ぼ、僕は結婚とかするつもりないですから!」
「あら、アタシもよ。日本じゃ認められてないものね」
「認められてない?」
「そっ。同性愛は愛じゃないのよね?」
「…愛は、愛です。…あなたがそれを正しい愛だと主張できるなら、後ろめたいと思わないなら、それは愛なんじゃないですか?」
「マモルちゃんは認めてくれるの?」
「教えでは同性愛は認められていません。だからこれは僕個人としての見解です。世の中の愛が男女の愛だけしかないなら、世界はもっと個人主義になっていたはずです。それ以外の愛情もあるから、たとえ一生連れ添える相手に巡り会えなくても、不幸になったりしないんです。人が豊かな心を持てるのは、いろんな愛情があるからだと、僕は思います」
マスターはじっと護を見つめ、筋骨隆々とした腕で、護をガシッと抱きしめてきた。
「あぁ! あんたいいコね! 何て可愛いの!」
グイグイ抱きしめられ、護は窒息しかけた。
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