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「マ、マスター! 落ち着いて!」
ようやく解放されゼイゼイ喘いでいると、奥のドアからレイジと清水が現れた。二人が奥の部屋へ行ってからわずか十分程度しか経っていない。
「あら、どうしたの?」
マスターもあまりの早さに驚いた声を発した。 レイジはやけに真面目な顔で護に手招きする。
「悪いけど、すぐ出る。マモル、行くよ」
護はわけがわからないままマスターにジュースの礼を言い、慌ててレイジの後を追った。
「車を回して来ます」
店の外に出ると、清水はそう告げて道路を横断して行く。レイジも自分の車を停めたパーキングへと歩き出す。
「どこに行くんですか?」
レイジは黙ったまま大股で車に向かって行く。
「レイジさん?」
「乗って」
言われるまま助手席に乗り込むと、いきなりレイジは護のシャツに手をかけてきた。
「レ、レイジさん!?」
「恥ずかしがることないだろ。この前、おれがお前を着替えさせたんだからな」
「だからって、何なんですか?!」
「確かその時見た気がしたんだ。お前の左胸に十字架みたいに並んだホクロがあるのを」
「ホクロ? それならありますから、脱がさないで下さい!」
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