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「見せて」
「嫌ですよ。裸なんて見せられません」
「胸どころかコッチも全部見てるんだけど」
下半身を指差され、護は頭を抱え込んだ。
「…デリートしてください」
「そう簡単にはいかないよね?」
「僕のホクロが何か問題ありますか?」
「うん、ある」
「どんな?」
「お前、親兄弟いないんだよな?」
「父がいます」
「血の繋がりのあるやつだよ」
「…いません」
「いたら嬉しい?」
「…それは、嬉しいですけど…。えっ…?」
「あの人、生き別れになった弟を探してるんだって。生きているなら年は二十歳。左胸に十字架の形に並んだホクロがある」
レイジは下に向けていた指先を、護の左胸へと押し当てた。
「…よかったな、マモル」
にっこり微笑まれた護だったが、あまりに突然のことで嬉しさより戸惑いの方が大きかった。
ただ急に動き始めた運命の空飛ぶホウキに振り落とされまいと、必死にしがみついているだけだった。
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