始まりを告げる針の声

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「おはよう」 私は登りきった後、前を見て そんないつもの誰に言うでもない挨拶をした。 目の前に広がってるのは私達が住んでる家。 ちょっと登っただけなのに、まるで別世界みたいな気持ちにさせてくれる。 雲の上にいるみたいとさえ思える程だ。 朝日が眩しくて、そして あるモノが私を取り囲むの。 それは―― 満開の桜。 風が吹けばひらひらと舞い落ちて、真下の私にも もっと下に広がっている私達の家にも、道を歩いている人にだって降り注がれる。 学校は窮屈。それは私だけが感じていることかもしれないけれど。 でも、だからこそここに来ると凄く気持ちがいい。 そう、ここは別世界――
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