始まりを告げる針の声

9/13
前へ
/948ページ
次へ
誰かが 来てる……? そう思った瞬間、一瞬胸がざわりとした。 もしかしたら、なんて期待が少し。 けれど、そんなわけはないってすぐに分かって。 そして今度はその時計をじっくり見ながらショックを受けた。 私だけだと思ってたから…… ううん、あの子と私の……だけど。 そんな思考を遮るようにざわりと風が一瞬冷たく吹いて ふと思い出した。 やば……今何時? そう思って私は、今持ってる時計の針を見た。 そうして、さっきは気付かなかった時計を手で隠していた部分に名前を見つけた。 【TUKINO】 達筆な字は真っ黒のペンで書かれていた。 「つ……きの」 そう声に出したら、また 風が私の後ろから吹いてきた。 それはまるで 何かの合図みたいに……  
/948ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1578人が本棚に入れています
本棚に追加