始まりを告げる針の声

2/13
前へ
/948ページ
次へ
「……今日に限って目覚ましより早く起きるなんて ついてないかも」 今日は高校の始業式。 高校に入って二年目の春。 また私は今日から、いつ休むかも分からない学校に行くことになってる。 何も出来なくて何もない学校に、本当は行きたいなんて思わない。 でも両立してこそ私だ。 って言い聞かせてる。 レナはゆっくり体を起こすと、カーテンを開けにベッドから下りる。 床に触った足がひんやり冷たくて、窓際まで爪先立ちで歩いた。 ようやく窓際までくると、勢いよくカーテンを開け、目を瞑ってしまいそうなくらい眩しい光に足の裏を床にしっかりとつけた。 カタカタと風が窓に当たる音がして、窓際から離れ 支度を始めた。 毎日 黒縁眼鏡に三つ編み。 笑っちゃうぐらいガリ勉を思わせるの。 でも 仕方ないから。
/948ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1578人が本棚に入れています
本棚に追加