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翌日、夜勤のため潤は二人分の弁当を持ち仕事に向かった。
朝送られてきた大澤からのメールは、昨日心配かけて悪かったことと、お茶漬けを食べて寝たから、もうすっかり元気になったという内容のものだった。
こんなメール一つで潤も元気になれる。
大澤の気持ちを疑うことも、三崎と自分を比べることも、もうやめようと気持ちを切り替えた。
自分は自分らしく大澤と付き合っていけばいい。我慢するとか、嫌われるんじゃないかと卑屈になること自体、大澤に嫌われる要因になる。
一緒にいて楽しくないなんて、一緒にいる意味がない。大澤だってそう言いたかったのだろう。
白衣に着替えると、潤はロッカールームにある電話から、大澤の院内PHSをコールした。
「先生? 今大丈夫?」
裏庭にいることがわかり、潤は弁当を持ってダッシュした。
「これから夜勤か?」
潤の顔を見て微笑む大澤は、もう昨日までの疲れは微塵も感じられなかった。
「これ、夕飯」
弁当を差し出すと、ベンチに腰掛けた大澤は、潤の体を引き寄せてきた。
「ば、ばか、何すんだよ! 見られたらマズいだろ!」
「誰も来やしないって」
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