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潤が渋々大澤の隣に腰掛けると、肩を抱くように大澤の手が後頭部へと伸びてくる。
「明日、夜勤が終わったら電話しろ」
「ピッチに?」
「おれの携帯。明日休めってさ。お前の新車でドライブでもしよう」
「でも、疲れてんじゃない?」
「年寄り扱いするな。もうすっかりビンビンだ」
「それを言うならピンピンだろ?」
クスリと笑った大澤に、潤も同じように笑って応えた。
「時間だから、行くね」
「ああ、頑張れよ」
「ちゃんと弁当食って、早く寝ろよ」
「だから、お前はおれのオフクロかよ?」
「あんたの恋人だよ。あんたの、最後の恋人」
素早くキスすると、潤は一目散にその場を離れた。
自分のために、わざわざドライブに行こうと誘ってくれた、その気持ちだけで充分だ。
何か突発的なことが起こって、たとえ行けなくなったとしても、もう文句を言うつもりは全くなかった。
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