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「おい、起きろ。飯にしよう」
揺り起こされ潤はゆっくり目を開けた。自分が何で起こされたのかも、全くわかっていなかった。
でも間近にいる大澤に気づき、毎朝目覚めたときと同じように、潤は笑顔で「おはよ」と、首を引き寄せキスした。
「お前、寝ぼけてんだろ? ここは家じゃないぞ」
「えっ……?」
辺りを見回すと、無数の車と大勢の人がいる。
「どこ?」
「談合坂だ」
「へっ?」
車を降りてようやくここが高速道のサービスエリアであることがわかった。
「随分遠くまでドライブに来たんだね。もっとも、おれ寝ちゃってたけど」
「まだ途中だ」
「あんまり遠いと疲れるよ? 明日仕事なんだし」
「明日も休みだ」
「うそっ」
「嘘じゃない。本当は木金で休みたかったんだが、金曜は外来があるから無理だ。だから今日、明日で有給をもらった。お前は夜勤明けで疲れてるだろうが、少し譲歩してくれ」
こんな譲歩ならいくらだってする。土日の連休の代わりに、わざわざ有給を取ってくれた。しかも連休でだ。
「…先生、ごめん。おれ、不機嫌になったりして。もうあんなワガママ、二度と言わない」
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