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潤は大澤に手を引かれベッドルームへと向かった。たった数歩の距離しかないのに、そのわずかな時間がいつも恥ずかしい。
だったら先にちゃんと食事して、テレビでも見ながらたわいもない話をして、「じゃあ、そろそろ寝るか」でベッドに入り、それからそんな展開になった方がよほど恥ずかしくない。
でも大澤はいつだって帰って来ると今夜みたいに抱きしめて、濃厚なキスで翻弄してくる。
潤だって男だ。中途半端に止めるのは辛い。
でもそんなことより、好きな相手と触れ合っていたいのが本当のところだ。
「あっ、ドア締め忘れちゃったから、こっちまで魚臭い。換気扇回してくる」
潤がキッチンに戻ろうとすると、腕を引っ張られ、そのままベッドに押し倒された。
「気にしないからいい」
「あんたがよくても、おれは気になるよ」
「…潤」
名を呼ばれると何故か抵抗できなくなる。
大澤の体温、のし掛かる体の重み、耳を掠める息遣い。
それらがみんな愛おしくてたまらなくなる。
体の奥に熱が生まれ、やがてそれは疼きとなって、体全体に広がっていく。
「…はぁっ、……せんせ、」
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