1276人が本棚に入れています
本棚に追加
案の定大澤は、夕飯を食べ、ビール片手に病棟からの電話を待ち、利尿剤の反応があったことがわかると、安心したのかそのままソファで寝入ってしまった。
毛布をかけてやりながら、潤は愛おしい恋人の寝顔をしばらく眺めた。
付き合ってみて、初めて色々わかったことがある。
思っていたほど大澤は不真面目ではなかった。案外律儀で、帰る前には必ず電話してくるし、必ず潤の作った料理を誉めてくれる。
仕事に関しては、自分のプライベートな時間を削るほどで、そんな大澤は尊敬できる。
付き合ってみて、ますます好きになった。それが率直な潤の気持ちだ。
「なぁ、おれのこと好き?」
寝息を立てている大澤の傍らに座り込み、潤はそう口に出して聞いてみた。目覚めているときには、恥ずかしくてとてもじゃないが聞けない。
勿論、好きだとか愛してるだとか、大澤はちゃんと言ってくれている。
「…なんでさ、しないの?」
瞼に被さる髪の束を、そっと指先で払った。
潤の困惑と疑問はそこにあった。
大澤とはまだ体を繋げるセックスをしていない。いつも手や口を使った行為だけだ。
最初のコメントを投稿しよう!