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「みんなも心配してるわよ?」
「…」
「なんで学校に来てくれないのかな」
「………」
「うーん…」
俺に説得してるのは俺の担任の先生。女の先生だ。登校拒否している俺が久しぶりに学校にくると、毎回先生に職員室に来るように呼びだされる。
ほっといて欲しいのに…
そんなことはお構い無しに
先生は、いつものお決まりのパターンで俺の肩を軽く叩きながら笑って
「美術室行こうか?」
と聞いた。
俺は力強く頷き、「はい」とはっきりと返事した。そんな俺の様子を見て先生は くすっと笑う。
「本当に美術室が好きなのね、ハクくんは」
そう、俺は美術室が好きだ。静かで、落ち着ける…俺が学校で一番居たい場所。
学校に来ている時は、必ずここに立ち寄らないと気がすまないんだ。
先生と職員室を出て、保険室の前を通り、3年の階へと続く階段を登る。
ちょうど踊り場で心配そうな眼差しをこちらに向けている同学年の女子とすれちがった。俺はなるべく目線を落とし、目を合わせないようにした…
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