6/9
前へ
/282ページ
次へ
「これからどうなるか…わかりますよね?」 沙羅は触れようとする和哉の手を払い、無言で睨み付けた。 「ちなみに…水嶋南都なら来ないですよ。あいつ今、女といるから」 「…デタラメ言わないで」 「信じられないですか?なら確認してみよっか」 楽しそうに笑い、和哉は誰かに電話をかけ始める。 「もしもーし。今体育倉庫。…うん。電話かわる」 渡された携帯に耳を当てると、そこからまず女の人の声が聞こえてきた。 「もしもし。南都……電話よ」 南都…? まさか、そんな… ぎゅっと握り締めた掌に、嫌な汗が滲む。 南都がいるわけない。 そう自分に言い聞かせ、沙羅は息を飲んだ。 だが… 「もしもしっ?!」 今一番聞きたくて… でも聞きたくなかった。 …南都の声。 それを聞かせると沙羅の手から携帯を奪い、和哉は電話を一方的に切った。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加