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「なんでお前がいんだよ」
校舎の四階にある音楽室。
普段は吹奏楽部が使用しているのだが、今日は部活がないらしく静まり返っている。
その室内に入るなり、南都は怪訝そうに顔を歪めた。
「大事な話があるの」
目の前にいるのは綾瀬。
「三上から呼び出しって嘘ついてまで?俺忙しいんだけどっ」
南都はあからさまに苛々した様子で、綾瀬を睨んだ。
「沙羅ちゃんと別れて、あたしと付き合って」
「は?」
南都はくだらない、とでも言うように鼻で笑った。
「…なに?そんなこと言うために呼び出したわけ?」
別れる、なんて言わない事は分かりきっているのに。
「まさかっ♪」
「じゃあなんなんだよ」
「ふふっ…焦らないでよ」
勿体ぶって話を進めようしない綾瀬に、苛立ちだけが募っていた。
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