ⅩⅠ

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「おじゃまします…」 ここは湊斗の家。 さすがに汚れた制服のままでは帰れない。 沙羅は鷺ノ宮高校の卒業生である、湊斗の姉の制服を貰う事にしたのだ。 湊斗の両親は共働きのため、今は不在。 姉も大学からまだ帰っていないようだ。 「姉ちゃんの部屋見てくるからここにいて」 沙羅を自分の部屋に案内すると、湊斗はすぐに部屋を出た。 1人になり、沙羅の頭に思い浮かぶのはやはり… 南都は、今誰といるのだろう。 何をしてるの? どうして………… 襲われた恐怖よりも…南都が来てくれなかった事の方が、ショックは大きかった。 鳴らない携帯。 南都からの連絡は未だ何もない。 一度は止まった涙が再び溢れ出してきてしまう…
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