ⅩⅠ

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「…俺じゃだめ?沙羅の傍にいるの」 「えっ?」 真剣な眼差しで見つめる湊斗。 突然過ぎて、沙羅には意味がよくわからなかった… が、次の言葉で状況をはっきりと理解する事が出来た。 「こんな時に言うなんて卑怯かもしれないけど…。好きだよ。子供の頃から、ずっと」 「湊斗…」 「俺なら、絶対に沙羅をこんな風に泣かせたりしない」 湊斗は沙羅を優しく包み込む… その温もりは南都とは違う、安心感を与えてくれた。 だけど… 「あたしは…」 それでも、やっぱり南都が好きなの。 信じたいって思ってしまう。 「…俺がいることも忘れないで」 何も言えずに俯いた沙羅の瞳から溢れた涙をそっと拭い、湊斗はその唇に自分の唇を重ねた。
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