ⅩⅠ

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「それうまそーっ!!ちょーだい」 「また宮川に呼び出されたぁ。沙羅ちゃん助けてー」 甘える南都。 「口塞ぐよ?」 「物足りなそうな顔してる」 意地悪な南都。 「それ貸して。俺、左手空いてるし」 「危なっかしくて見てらんねー」 優しい南都。 …大好きな南都。 携帯を握りしめ、沙羅は1人夜空を見上げた。 その心とは裏腹に…空を埋めつくすほどの星がキラキラと輝いている。 「何かあったのか…?」 突然背後から聞こえた声に反応し、沙羅はゆっくりとそちらに顔を向けた。 「パパ…」 仕事から帰ったばかりなのだろう。 …スーツ姿の涼が、ネクタイを外しながら悲しげに微笑んでいた。
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