ⅩⅡ

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「な、んで…?やだよ……」 やっとの思いで絞り出した声。 沙羅がソファーから体を起こすと、溜まっていた涙が次々と頬を伝って流れた。 「飽きた。ほら、俺1人の女と長く付き合った事ないからさー」 聞きたくない… 「沙羅には…薫太や湊斗みたいな真面目な奴が合ってる」 そんな話、聞きたくないよ。 「俺なんかより…あいつらのが幸せにしてくれるんじゃん?」 「南都…」 はだけたブラウスの胸元を手で押さえ、沙羅は立ち上がる。 認めたくない。 だけど南都は自分の意思を簡単に曲げたりしないから。 受け止めなきゃ…だめなんだ。 1人の気持ちが無くなってしまった以上… どうにもならない。 もう、戻れない。
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