ⅩⅡ

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「あたし、幸せだったよ…?」 沙羅は覚悟を決め、最後に一番伝えたい思いを口にした。 溢れる涙を必死に堪え微笑む。 どうせなら…笑顔でさよならしたいから。 例え、南都が見てくれていなくても。 乱れた衣服を直し、部屋から出るためドアノブに手をかけた時…南都に、呼ばれた気がした。 だけど決して振り返らない。 顔を見たら…きっと諦めがつかなくなるから。 「さよなら…」 沙羅は南都の顔を見ないように後ろ手にドアを閉める。 パタン…と音を立てて扉が閉まる間際、呟くように小さい声が静寂の中に切なく響いた。 「ごめん……」 沙羅には聞こえなかった、最後の一言。 南都は沙羅の出ていった扉を、しばらく眺めていた。
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