side 湊斗

2/13
前へ
/282ページ
次へ
辺りが薄暗くなり始めた頃…湊斗は、沙羅の家を訪れていた。 マンションの入口に立ちまずは深呼吸… やたらと緊張して、うるさく鳴り響く心臓を落ち着かせる。 「……よし」 意を決して中に入ろうとした時、ふと視界の隅に人影が映った。 「っ?!あれは…」 俯き、ふらふらと歩く沙羅の姿。 湊斗は慌てて駆け寄り、その両肩を支えた。 「沙羅?」 その声に反応してか、沙羅はびくっと一瞬体を強張らせてから、ゆっくりと顔を上げる… 「なんで泣いてるんだよ…」 涙に濡れた瞳。 湊斗の姿を確認した沙羅は再び顔を伏せ、絞り出したような声で告げた。 「南都と、わかれ……ちゃった…」
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加