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辺りが薄暗くなり始めた頃…湊斗は、沙羅の家を訪れていた。
マンションの入口に立ちまずは深呼吸…
やたらと緊張して、うるさく鳴り響く心臓を落ち着かせる。
「……よし」
意を決して中に入ろうとした時、ふと視界の隅に人影が映った。
「っ?!あれは…」
俯き、ふらふらと歩く沙羅の姿。
湊斗は慌てて駆け寄り、その両肩を支えた。
「沙羅?」
その声に反応してか、沙羅はびくっと一瞬体を強張らせてから、ゆっくりと顔を上げる…
「なんで泣いてるんだよ…」
涙に濡れた瞳。
湊斗の姿を確認した沙羅は再び顔を伏せ、絞り出したような声で告げた。
「南都と、わかれ……ちゃった…」
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