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「南都の事、考えてる…?」
数秒間のキスのあと、湊斗は唇を少し離し尋ねた。
意地悪な質問。
「え…」
「今は俺だけを、想って?」
色っぽさと切なさとが一緒になったような湊斗の声…
熱い吐息がかかる。
「んっ…」
再び重なろうとした唇を、沙羅は躊躇いながらも受け入れた。
俺は…ずるい。
南都の事だから、きっと何か事情があるんだって。
本心で別れを口にしたわけじゃないって、わかっているのに…
こうしてまた、沙羅を抱き締める自分は。
口づけを交わす自分は…
ずるい。
だけど、今だけは…
湊斗は再び沙羅の体をキツく抱き締めた。
せめて今だけは、離れていってしまわぬように。
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