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しばらくすると男は立ち上がり、突然沙羅の手を掴んだ。
「えっ?!ちょっ…」
そして抵抗する間もなく、その体をフェンスへと押し付ける。
「痛っ…」
「お前さ…誘ってんの?」
「はいっ??!!」
さ、誘う??!!
意味がわからないっ!
「な、何言って…っ!」
両腕を押さえられた沙羅が顔を真っ赤にして言うと、男はニッと意地悪そうに笑った。
「じょーだん」
スッと沙羅から手を離し、眠そうに欠伸をする。
な、なんなのっ?
呆然とする沙羅。
そこへ追い討ちをかけるように、男はまた謎を残した。
「またな。沙羅…」
……え?
少し間を置いて気付く。
「っ?!待って!なんで名前…」
そう叫んだ時には、もう男の姿はどこにもなかった。
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