9/12

1572人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
その後も他愛もない会話は続き、すっかり打ち解けた4人。 予鈴が鳴り「そろそろ戻ろっかー」という薫太の言葉を合図に屋上をあとにした。 「湊斗は何組?」 「F。俺だけ離れてるな」 沙羅のクラスとは端と端。 ということは、屋上から階段を三階まで下りてすぐ隣。 この角を曲がれば湊斗のクラスだな… と、思ったその時。 「えっ?」 突然、湊斗に手を掴まれた。 前を歩いていた侑希と薫太は、気付かずに行ってしまう… 「どうしたの?」 振り返ると、湊斗は何故だかとても真剣な表情をしていた。 幼い頃とは違い、真っ直ぐに沙羅を見つめている。 「沙羅が帰ってきてくれて…また会えて嬉しい」 「湊斗…」 「もういなくなるなよっ?」 それだけ言うと寂しげに掴んだ手を離し、湊斗は自分のクラスへと消えた。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加