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その後も他愛もない会話は続き、すっかり打ち解けた4人。
予鈴が鳴り「そろそろ戻ろっかー」という薫太の言葉を合図に屋上をあとにした。
「湊斗は何組?」
「F。俺だけ離れてるな」
沙羅のクラスとは端と端。
ということは、屋上から階段を三階まで下りてすぐ隣。
この角を曲がれば湊斗のクラスだな…
と、思ったその時。
「えっ?」
突然、湊斗に手を掴まれた。
前を歩いていた侑希と薫太は、気付かずに行ってしまう…
「どうしたの?」
振り返ると、湊斗は何故だかとても真剣な表情をしていた。
幼い頃とは違い、真っ直ぐに沙羅を見つめている。
「沙羅が帰ってきてくれて…また会えて嬉しい」
「湊斗…」
「もういなくなるなよっ?」
それだけ言うと寂しげに掴んだ手を離し、湊斗は自分のクラスへと消えた。
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