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廊下に出てキョロキョロと見渡すと、右方向…D組教室の辺りを歩く姿をすぐに発見出来た。
人混みに消えそうな背中を、必死に追いかける。
「待って…
……………南都っ!!」
沙羅はそのワイシャツの裾を掴み、なんとか引き留めた。
先ほど侑希に告げられた事実…
「水嶋南都(ミズシマナツ)…去年の6月までは二宮南都」
…そう。
沙羅の知る『二宮南都』は、とても身近な所にいたのだ。
去年両親が離婚し、突然母親の旧姓へと変わったとの事。
名字が変わったとはいえ、すぐ近くにいる幼なじみに気が付かないなんて…最悪だ。
「…なに?」
はぁはぁと乱れた呼吸を整える沙羅の方へ、水嶋…
いや、南都は静かに振り返る。
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