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「どうして黙ってたの?」
屋上で会った時、南都は沙羅に気付いていた。
…それなのに、何も言わずにいなくなってしまうなんて。
「だって、言わなくても気付いてほしいじゃん」
ふてくされたようにそっぽを向く南都。
だけど、その表情はどこか悲しげに見えた。
幼い頃、沙羅が「引っ越す事になった」と告げた時の南都の表情とリンクする…
間違いない。
外見は変わってしまったが、ここにいるのは確かに南都だ。
やんちゃで、男子のリーダー的存在だった南都。
「南都………ただいま」
「おっせーよっ!」
沙羅が微笑むと、南都はその額に軽くデコピンをする。
そして…
「………おかえり」
今度はフリじゃなく、本当に照れ臭そうに笑った。
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