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「な、つ……どうしたの?」 手首を掴まれたまま早歩きで屋上まで来たため、沙羅の息はあがってしまっている。 はぁはぁと呼吸を整えていると、南都は体をこちらに向けた。 「…逃げてんの、あいつから」 「に…げる?」 「あいつお嬢様でさ、欲しいものは何でも手に入れる主義らしいんだ」 漫画とか…ドラマでよくいるキャラだ。 嘘を言っていない南都の瞳。 そんな人が本当にいるんだ… 「好きな女いるって言ってんのにさ…全然諦める気配なくて」 南都はうんざりして大きく溜め息を漏らす。 「…南都好きなこいるのっ?」 「あ」 沙羅が尋ねると、南都は「しまった」とでも言うように顔を歪めた。
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