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「まったく…」 パタンと部屋のドアを閉めた途端、薫太は大きく溜め息をついた。 「ごめんね。母さんが変なこと言って」 「気にしないで♪それより…懐かしいな。この部屋っ」 申し訳なさそうにする薫太にそう言うと、沙羅は近くにあったソファーに腰を下ろした。 「小三以来だね…。ここで俺たちは、沙羅から引っ越すことになったって言われたんだ」 薫太はベッドに腰を下ろし、その時の事を思い返したのか…少し悲しげな表情をする。 「湊斗は泣いて、南都は部屋を飛び出しちゃって…薫太は、あたしを慰めてくれたよね」 「…あのあと、1人になってから俺も大泣きしたけどねっ」 「うそ…薫太が?!」 最後まで決して涙を見せなかった薫太。 きっと、今だからこうして笑って話せるのだろう。
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