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自嘲気味に微笑むと、薫太は視線を壁に掛けられたコルクボードへと移した。 そこには、幼い頃の写真が貼られている。 「俺がお遊戯会でお姫様役やらされそうになった時、助けてくれたよねっ」 「うん…」 それは幼稚園生だった頃。 男子たちがふざけて…いや、本気だったのかもしれないけど。 薫太にお姫様役ををやらせようとした事があった。 『薫太は可愛いけど、本当はすごい男らしいんだよ!!かっこいいんだよっ!』 沙羅はその時、必死に薫太を助けようとして… あんなに怒りを露にしたのは、初めてだったと思う。 「あれ嬉しかった。沙羅は外見だけじゃなくて、ちゃんと中身を見てくれてるんだって」 「当然だよっ。ずーっと一緒にいたんだから」 守りたかったんだ。 大切な幼なじみを。
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