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「またあとでねーっ」 F組の湊斗と別れ、沙羅は自分のクラスへと向かう。 長い廊下の一番端…教室のドアを開けようと手を掛けた。 …その時だった。 「や、…山下さん!」 突然声を掛けられ、沙羅はビクッとして後ろを振り返った。 そこには、黒縁の眼鏡をかけた黒髪の見たことのない男子が立っている。 制服を綺麗に着こなし、なんとなく真面目そうな感じ。 「な、なんですか??」 見知らぬ人物の出現に、戸惑いながらも沙羅は答えた。 すると、男はもじもじと恥ずかしそうな仕草を見せ、落ち着きを取り戻すかのように深呼吸。 そして、意を決したように口を開いた。 「あっ…あの……僕と、友達になってください!!!!」 「へっ?」 と、友達? その瞳にはうっすらと涙が浮かんで見える…
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