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四月の穏やかで暖かい風が部屋を通り抜けていく。
「ね?気持ち良いでしょ?」
「うんっ!最高だねー空も凄くきれ……」
そこで言葉を止める侑希。
不思議に思いそちらに目を向けると、侑希の視線は何故か沙羅の首の辺りにある。
「ゆーき??」
「首にあるの…キスマーク?」
風でなびいた髪の隙間…そこから覗く、蚊に刺されたのとは少し違う痕。
「えぇっ??!!」
沙羅は咄嗟にそれがあるであろう箇所を手で覆うが、時すでに遅し。
「いつの間に?!相手は誰なの??!!」
「え?えぇーっとぉ…」
凄い剣幕で詰め寄られ、沙羅は言葉を濁した。
誤魔化すのも無理だし…
正直に言うのもなんだか恥ずかしい。
「まさか…」
すると、侑希は先ほどよりも落ち着いた口調で再び尋ねてきた。
「…水嶋じゃない、よね?」
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