shelter

Ⅶ

こんなにも簡単に出ると思わなかった名前に、ドクンと心臓がはね上がった。

動揺を悟られないように平静を装う沙羅に、侑希は追い討ちをかけるように続ける。

「水嶋と付き合ってたりなんて…しないよね？」

…どうして？

こんな質問、まるで…

「…付き合ってないよ」

沙羅がそう答えると、侑希は安心したように呟いた。

「そっか…」

まるで、付き合ってほしくないとでも言うような…

考え過ぎだろうか？

しかし、もしそうだとしたら侑希は南都のことが…

「ごめんね、いきなり変なこと聞いちゃって！」

「う、ううんっ。全然！」

…胸が、苦しい。

奥の方をぎゅっと締め付けられるような痛み。

この気持ちは、何？