6/21
前へ
/282ページ
次へ
「あのさ、沙羅…」 混乱する沙羅に向かって、侑希は再び口を開く。 その表情は何かを決心したようでもあり、不安を隠せない…そんな感じにも見える。 高まる緊張感。 「あや…」 「沙羅ー!!侑希ちゃーん!お昼にしよー!!」 …タイミングが良いのか、悪いのか。 千夏の叫び声により、侑希の言おうとした言葉は綺麗にかき消されてしまった。 「呼ばれちゃった…またあとでゆっくり話すね」 あははと苦笑いをすると、侑希はまだポカンとしている沙羅の手を取る。 「行こっ!お腹すいちゃった」 「…だねっ」 一緒に千夏たちの待つリビングへと向かう。 伝えられなかった、それぞれの思いを胸に抱えたまま…
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加