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…だめだ! 沙羅は南都の脇腹を、ドンッと思いきり肘でつついた。 「ぐっ…」 その衝撃で力が緩むと、南都の腕からするりと抜け出す。 「…何してるの?」 2人を発見した侑希は、脇腹を抑えてしゃがみ込む南都を不審な目で見つめている。 「た、食べ過ぎたみたいっ」 適当に誤魔化すと、キッとこちらを睨む南都。 沙羅は逃げる様に、大量の干物を抱える湊斗の方へ走った。 「………大丈夫?」 「…なんとか」 南都は立ち上がり、体についた砂を払う。 そして、青く澄んだ空を見上げ、近くにいる侑希にも聞こえないくらいの声で呟いた。 「もう抑えらんねーよ…」 秘められた、苦しい思い。
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