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「誰…ですか?」
立っていたのは、1人の男だった。
自分と同じぐらいの歳だろうか。
「杏里...何で...」
男は、杏里の声が聞こえていないかのようにどんどん近付いて来る...。
「こ、来ないで!!」
誰かは、分からないが...
記憶を無くす前の自分が、拒否しているのが何となく分かった。
「杏里...やっぱり...」
―ガラッ―
扉が再び開いた。
「な..何で、あなたが..」
入って来たのは、母親だと思われるおばさんだった。
男を見るなり、一気に顔色が変わった。
「こんにちは...」
男は、呑気に挨拶をしている。
「出て行って...出て行って!!!」
おばさんの顔は、怒っているような悲しいような表情だったが、必死なのは確かだった。
「杏里、また来るな...」
そう言うと、男は出て行った。
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