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そのあと必要最低限なものだけを買ったはずなのに、それでも凄くたくさんの袋を抱えて帰った。
「…あれ?」
ナルちゃんがアパートのポストを確認してるとき、私はポストの表札に目が行った。
「成瀬…?」
「そ。俺の名字。何を今更」
…凄い偶然。
たまたまナルちゃんなんてあだ名つけたけど、まさか名字にナルがつくとは……
「え、何。お前俺の名字知ってて呼んでたんじゃないの?」
私が初めて知った、と返事をすれば、ナルちゃんは感情がいまいち読み取れない、単調な口調で聞き返してきた。
「だって初対面じゃない。ストーカーとか追っかけとかとでも思ったの?」
「うん」
冗談で言ったつもりなのに、ナルちゃんは真面目な顔のまま答えた。
…って言ったって、ナルちゃんは常に無表情なんだけど。
「まぁ、そんだけの美形なら追っかけくらいいそうね」
私は苦笑気味に返すと玄関のドアを開ける。
「じゃあ、下の名前は?」
なんとなく気になった。
聞いたってあだ名を替えるつもりはないけど。
「…久志」
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