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「…どうして?」
なんでナルちゃんがいるの?
「なんとなく帰ってきたくなった」
玄関の扉を開けようと手を掛けたら、自然に扉が開いて、そこに微笑んだナルちゃんがいた。
予想外の出迎えと、その笑顔があまりに綺麗で、私は思わず視線をそらした。
こうやっていつも笑っていたら、周りにいる女の人たちは心臓がもたなそう。
私ですらドキッとしたんだから。
ナルちゃんの顔を見ながらそんなことを考えて、そのあとは失笑した。
私がすっごく可愛かったら、圭吾は私を放さなかったかな、なんて考えてしまったから。
浅はか。
そして愚か。
「みぃ?」
フワッとナルちゃんの香りがして、頭に手が置かれたのがわかった。
顔を上げれば、少しだけ優しい目をしたナルちゃんが私を真っ直ぐ見つめる。
なんでだろう。
その手が。
その眸が。
無性に愛しく感じた。
「………、」
ダメだ。
愛に飢えてるんだ、私。
「みぃー、みぃ、……おい、美咲」
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