960人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
道端の大きな水溜まりにスーパーの袋を持って相合傘をした私とナルちゃんがぼんやり映っている。
なんか夫婦みたい、と私はナルちゃんに気付かれないよう笑った。
…雨が止んでたらもう少しハッキリ見えたのにな。
あの日から、何故かナルちゃんはよく家にいるようになった。
ご飯はほぼ毎回一緒に食べている。
そのことになんだか嬉んでいる自分がいた。
「あら、久志」
ナルちゃんのアパートが見えてきた頃、前からスラッとした女の人がブランド物の傘をさして、ナルちゃんのもとへ近づいてくる。
その見事な容姿が女の私ですら魅了させた。
いままでナルちゃんの知り合いの女性を何人も見てきた。
なぜなら最近私が始めた最寄り駅の近くのコンビニ(前のコンビニよりも時給がかなりよかったからそこに即決した)に、ナルちゃんが毎日のように来るからだ。
しかもほぼ毎回違う人。
どの女の人も綺麗でスタイルがいい人ばっかりだった。
だけど今目の前にいる人は今までで一番綺麗で上品に感じる。
最初のコメントを投稿しよう!