4.

4/13
960人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
  ナルちゃんがこんなにも多くの女の人と一緒にいるのは、言うまでもなくナルちゃんが相当いい顔立ちで女の人が放っておかないからだと思う。 そう考えると、私なんかがナルちゃんの隣を歩いているのが今更ながら恥ずかしく思えてきた。 「……美波」 「よかったぁ!ちょうど用事があったのよ」 美波と言うらしい、べっぴんさんは人懐こそうな笑顔でニコッと笑う。 それから私に目を向けてきた。 「えーと、久志の彼女さんかな?」 柔らかい笑顔に今まで見てきた女の人からのような悪意は含まれてない。 と、思いたい。 「いえ、私は…」 「そんなのどうでもいいだろ。用事ってなんだよ」 否定しようとした私の言葉の上からナルちゃんは言うと、私に傘を持たせ、それから女の人の傘と手を取って今来た道を引き返す。 「悪い。先帰っててくれない?」  
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!