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瞬は溜息をついて、
「悪かったな、バカで…」
「待て待て、この天才隼人様をバカとは言わせねぇ。」
「あんたは【天才】じゃなくて【天災】でしょ。それより、こっちを何とかしないとね。
隼人は私と一緒に陽動、美咲ちゃんは隙を突いて凍らして。」
「分かった!」
「OK!行くぜ理緒!!」
隼人と理緒は悪魔に向かって走って行った。
(もう体力も残ってねぇな…あーあ、また理緒に怒られちまう。)
隼人が突っ込むと、悪魔は手を尖らせて突きを放ってきた。隼人はそれを完全に躱さずにあえて受ける。
ドチュッ…っという爪が肉に刺さる音がして、隼人の右脇腹を悪魔の手が貫いた。
「へっ、惜しかったな…もうちょい…左上なら…殺せ…てた…のに…」
隼人は自分の脇腹に刺さっている手を掴んだ。最高のタイミングで理緒が蹴りを放った。
「せいっ!!」
その蹴りは、言わば風の鈍器。風で加速し、風を纏った理緒の蹴りは掴まれて身動きが出来ない悪魔の鎖骨の辺りに直撃した。
ベキゴキ!骨の砕ける音がして、悪魔は吹き飛んだ。
「理緒ちゃん!」
「うん!」
美咲の声で、悪魔の首から下全てが凍り付いた。
悪魔はもがいたが氷はびくともせずにただ手足の自由を封じていた。
瞬が前に出て、凍り付けになっている悪魔を見下ろした。しばらくの静寂……瞬が口を開いた。
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